実験開始から5年が経ちました。サンプルデッキの表面から塗料がすっかり抜けた状態からも1〜2年が経過しました。
下の写真を見る限り,もう比較するものがないように思えます。この実験はもう終わりでしょうか?
いえいえ,サンプルデッキの裏面では,木材腐朽菌に対する耐久レースが続いています。下の裏面編をご覧ください。
ウッドデッキのアキレス腱は,床板の裏面につく木材腐朽菌です。
現物のマイデッキ(ウエスタンレッドシダー製)でも築後6年で下のようになりましたし,この実験のサンプルデッキ(SPF)にも4年3ヶ月で菌がとりつきました。
マイデッキの裏面(2010年7月17日撮影) | マイデッキの床板の裏面に生えていたキノコみたいなもの(同日撮影) | サンプルデッキの【C2】(2010年11月6日撮影) |
サンプルデッキを裏返して撮影したものが下の画像です。
紫外線があたらない裏面では5年経っても塗料がしっかり残っています【A1〜10】。紫外線の破壊力おそるべし。
表の面しか塗装していないウエスタンレッドシダー【B0〜10】の裏面も新鮮です。
対照的に無残なのはSPF(スプルーフ・パイン・ファー)【C0〜10】。SPFに高い塗料を塗っても,ウエスタンレッドシダーの耐久力に及ばないことがわかります。
表と裏を塗装したウエスタンレッドシダーの裏面【A1〜A5】 | 表と裏を塗装したウエスタンレッドシダーの裏面【A5〜A10】 |
表の面しか塗装していないウエスタンレッドシダーの裏面【B0〜B5】 | 表の面しか塗装していないウエスタンレッドシダーの裏面【B5〜B10】 |
表と裏を塗装したSPFの裏面【C1〜C5】 | 表と裏を塗装したSPFの裏面【C5〜C10】 |
無塗装のSPF(スプルーフ・パイン・ファー)【C0】,SPFにインウッドを塗った【C1】およびSPFにウッドガードを塗った【C2】に木材腐朽菌が入っています。
2010年11月6日に観察したときには,【C0】【C1】に菌はなかったので,その後の9ヶ月間に繁殖したことになります。
まず【C2】に付着した菌は,【C0】に向かって増殖したのですが,アメーバのように「面的」に広がっていったのではなく,コーススレッドの穴の部分を選んで(=飛んで)巣食っています。
このことは防菌対策のヒントとなるかも。
無塗装のSPF【C0】 | 無塗装のSPF【C0】の裏面 | SPFのインウッド【C1】とウッドガード【C2】 |
ハードウッドの表の面は5年も経つと,どれも同じような灰色になりました。しかし裏面は樹種の特徴がはっきりと残っています。
ハードウッドの裏面【D1〜D5】 | 左からサイプレス,イタウバ,セランガンバツー | 左からセランガンバツー,ウリン,イペ |
この実験は,開始から5年を経過した2011年8月を節目として,新たな実験テーマに移行します。それは「木材腐朽菌に対して強い木材と塗料の組み合わせは何?」というものです。
ハードウッドに対してウエスタンレッドシダーがどこまで伍していくか,最強のハードウッドは何か?・・・「木力」(きぢから)の勝負が見どころですね。
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